『資源循環を通して見えてくる新しい環境価値』

　近年、地球温暖化や自然環境の劣化が進み、その一方で化石燃料や資源の枯渇蓋然性の高まり及び世界的偏在がエネルギー安定供給や資源確保に深刻なリスクをもたらしています。これらの問題の解決のため国や国際レベルでの研究や対応策の検討が行われてきましたが、未だ具体的な解が得られない状況にあります。その主因は、諸課題に関するステークホルダー間の認識の齟齬や価値観の衝突、解決プロセスを巡る連携不足、自然科学および人文・社会科学を包摂した科学研究成果の社会への還元の不十分さにあると考えられ、そのため持続可能な地球環境と心豊かな人間社会という理想を統一的に結像させるには、暮らし方や社会の在り方に関する価値観の大変革が必要になります。地球環境と共生できる心豊かな人間生活の基盤となる「新しい環境価値観」創造を中心的な目標として、持続可能社会への道筋や、資源循環に関する考え方について幾つかの研究事例を紹介します。また、産業群の創造、地産地活消に基づく地域新生を目指し、持続可能性の制約のもとで心が豊かになる多様な価値観の創出をどのように進めるか、一緒に考えます。

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